#1根田 れいみさん
獣医師
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イギリス国立ケンブリッジ大学 獣医学部卒業University of Cambridge Bachelor of Veterinary Medicine
NIC22期生
国際基督教大学高等学校
根田 れいみさんを
特別な人にした
こととは?
“人と比べない姿勢。”
今の自分を受け止めて、今をコツコツ頑張ること。
どんな辛い時も、“ 獣医師になる” というツヨいこころざしが、
自分の想いが助けてくれました。
今年の6月にケンブリッジ大学の獣医学部を卒業しました。今年の9月から、イギリスのコーンウォールという地域の、ファルマスという町で獣医師として本格的に働いています。コーンウォールは人が優しく、自然が豊かで、美しいビーチがありイギリスでは避暑地として有名な町です。コーンウォールという場所がとても気に入り、労働ビザを保証してくれる動物病院を探していました。締め切りは過ぎていたのですが、ダメもとである動物病院に応募してみたところ、翌日にスカイプ面接。そして、すぐに働いて欲しいとの連絡がきました。
7歳の時から、5年半アメリカにいたということもあり他の同年代の人より英語力はありました。しかし、それでも、その当時の英語力で海外の大学に進学する自信はありませんでした。また、自分が本当に何が勉強したいのか、将来何を具体的にやっていきたいのか見つかっていなかったので、NICの1年間という時間は本当に大切な時間でした。真剣に、獣医になると決めたのはNICに入学してからです。幼い頃から、動物は大好きでしたが、ただ動物好きということだけで、そこから獣医になるという具体的な夢には辿り着いていませんでした。しかし、自分の将来をもう一度考えた時に、動物のことを理解し、彼らの命に携わる獣医という仕事に憧れ、獣医になることを決意しました。
始めはオーストラリアの大学に興味があったのですが、NICでカウンセリングを受けた際に、イギリスのケンブリッジ大学にも進む道があることを知り、挑戦してみたいと思うようになりました。NICの先輩で既に入学された方がいたので、それも後押しになり自分もいけるかもしれないと漠然と希望を持つようになったのがきっかけです。
ケンブリッジ大学には、教授1人と4人の学生で行われる講義の復習をする授業、いわゆるスーパーヴィジョンという特殊な時間があります。その授業で出される課題が、大変で大変で。。。問題に対して、エッセイで答えていかなければならないのですが、休日はその課題のエッセイを書いているうちに終わるという。。また、最初の2年間をプリ- クリニカルというのですが、ここでは生化学や、生理学、解剖学、薬学、神経学などありとあらゆる基礎的な論理を、一部は医学部生と同じクラスで勉強します。3年目では、インタラクションと言って獣医学以外に自分の興味のある勉強ができる期間が1年あり、その1年で学位を取ることができます。私は、動物学をその一年で勉強し、動物学の学位を取得しました。4年目からは、大学に付属している動物病院での臨床の授業が主になり、最終学年ではついに講義なしの、実習のみの一年となります。
大学時代を振り返ると、2年目が、特に大変でした。ケンブリッジの獣医学の学生はほとんどの人が、2年生には絶対に戻りたくないというくらい大変な時期で有名です。実践的なことはもちろんのこと、アカデミックを重んじる校風が有名で、本当に専門的な細かい知識まで覚えなくてはなりません。一度、2 00種類の薬の、名前、作用、副作用、効能などを覚えなければならないたことがありましたが、それも本当に大変でした。また、獣医学の最終試験では馬、小動物、家畜、公衆衛生、についてそれぞれ3時間、3時間、3時間、2時間の筆記試験がありました。そして、さらにそれぞれの科目に対して40分の口頭試験があります。試験前は、臨床の授業ノートを何度も見直して勉強しました。
ケンブリッジ大学に入学してからしばらくは、入学したことを何度も後悔した日々の連続でした。勉強量、覚えなければいけない知識量が半端なく、またケンブリッジ独特の雰囲気に慣れずにいました。ケンブリッジ大学には31校のカレッジがあり、それぞれ大体獣医学生は2〜3人ずつしか受け入れていません。獣医学部では、私を含め留学生は2人だけでした。
日々の大学の生活は、勉強と、勉強と、勉強と、寮の往復。特に最初の一年は、とても大変で、クラスメイトに馴染む事にとても時間がかかり、また友達を作ることにもとても苦労しました。クラスメイトの“優秀な”会話になかなか入れないことがあったり。勉強や環境に追われ、自分への自信がどんどん奪われていき、途方も無い孤独に襲われた時期もありました。そんな時、“自分には、完璧なんて無理!勉強ができることだけが良いわけじゃない。自分にだって、他の人には無い良いところがたくさんあるじゃないか。”と開き直ることの大切さを学べました。“勉強の成績や頭脳だけで自分を人と比較するのをやめよう”と、そこからもっと前向きに大学生活を過ごすことができました。
また、大学の器械体操クラブに所属したことが、私にとって良い機会になったと思います。器械体操部では、自分と同じように留学生として頑張っている学生もたくさん所属していて、学部や国籍関係なくチームで一つのことを成し遂げる経験は、とても充実していました。毎年行われるケンブリッジ大学対オックスフォード大学のヴァーシティ・マッチという大会があるのですが、私は3回出場することが出来ました。また、5年生の時は体操部の女子キャプテンを務め上げました。
将来は、獣医として経験を積み、動物を通して人々を幸せにできる人間になれたらと思います。
漠然としていますが、介助犬や介護犬など人と寄り添う動物たちの活躍を支え、より多くの人が幸せに過ごせる世の中作りに貢献できたらと思います。