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Sayaka Watanabeさん

Sayaka Watanabe先輩メッセージ

Sayaka Watanabe

Sayaka Watanabe

愛知県立成章高校出身 / NIC第27期生(大阪校第3期生) / ニューヨーク州立 ロックランドカレッジ 2016年12月卒業

大阪校第3期生 修了式代表スピーチ

洞窟から出るということ

世界で最も有名で偉大な哲学者の一人であるプラトンの考えのひとつに、洞窟の寓話というお話があります。人々は洞窟の奥深くで、腕を鎖で繋がれ、洞窟の黒い壁と向かい合いながら人生を過ごします。彼らの後ろでは炎が燃え、その炎が壁に映した影と洞窟内の響きによって誇張された音だけを頼りに彼らは世界を感じます。彼らの中から一人が洞窟の外に出るのを許され、生まれて初めて外の真の世界を体験する機会を得ます。いったん外にでてみると空の青さが、甘い花の香りが、まぶしい太陽の光が、人との出会いが、すべてが彼を魅了します。なぜならすべてが彼にとってはじめての体験だから。これがわたしが人類学の授業で学んだ洞窟のなかのお話です。

さて、次に私たちについて考えてみましょう。私たちにとっての洞窟はここ日本で、その洞窟の中に住み着いているのが私たちです。人類学を教えてくだっさったトロフ教授は洞窟の寓話になぞらえてこういいました。私たちは知性と心を使って学び、今住み慣れた快適な日本という洞窟から新しい冒険をするために、抜け出そうとしているのだと。新しい目的地はアメリカ、イギリス、モナコ、オランダなど様々です。ただ一人だけが選ばれるプラトンの洞窟の寓話とは違い、私たちは全員が一緒に、夢を叶えるため、もしくは見つけに行くために、まだ見たことのない世界へと旅立ちます。私たちは鎖に繋がれることなく、自由に洞窟の中から抜け出し、心の中では炎がぎらぎらと爆発するのを待つように燃えています。実はNICに入学することを決意した、一年前の四月から私たちは洞窟から外の世界への第一歩を踏み出しているのです。今日は私の視野を世界へと広げた経験のいくつかを皆さんと一緒に共有したいと思います。

修了式の様子

幸せですか?Are you happy? この一年何度もこの質問を投げかけたのは誰かお分かりの方も多いでしょう。私は一学期のSpeaking に集中するNSDというクラスで、Are you happy?といつも私たちに聞くトニー先生の言葉がお気に入りでした。Happy? 初めて聞いたときはよく意味がわかりませんでしたが、後から気づくと、トニーは私たちが今決断しようとしている選択に対して、それが私たちが求めている、本当にやりたいことなのかどうか自分の心に確かめることの大切さを私たちに伝えようとしていたのではないかなと思います。人生は選択の連続で、自分で下した決断と行動が私の人生を切り拓くと私は信じて生きています。私たちは自発的にもしくは無意識に洞窟のなかから出ることを決意し、真の世界で何か自分にしかできないことを成し遂げるための意思をNICでの生活で打ち立てました。私にとっての幸せはNICに来て、洞窟からの第一歩を踏み出したことです。トニーの質問に答えるとしたら、私は幸せでした。そして今の私はさらにさらに幸せです。私を含め皆あなたの生徒であったことを幸福に思っています。

”人生はなんて美しいんだ!”そして時々皮肉を込めて、”それが人生ってもんさ!”もう皆さん誰のことかわかりますよね?ダニーは教室に入るやいなや窓から天気をチェックしこう一言。”今日はなんて美しい日なんだ!”私は最初戸惑いました。なぜなら、曇りや雨の、とても美しい天気とは言えない日でさえも今日は美しいとダニーは感動していたからです。大量の宿題に追われる日々で、天気なんて気にしていられないと疲れた表情を私たちが見せたときは、私たちの人生がどれだけ素晴らしいか気づかせるため、ダニーは否定する余地のないYES!が答えの質問を投げかけました。空腹を満たす十分な食事ができますか?銃撃戦や爆発音におびえることなく毎朝目覚めることができますか?教育が受けられますか?といったように。最後に彼は、あなたを愛している人がいますか?と聞きました。たとえ答えが残念ながらNOの人がいたとしても、僕が君たちのことを愛しているから心配しなくていいよと私たちを安心させました。それでもまだ私たちが宿題が多いと文句を言ったときは”それもまた人生さ!”と一言。私はDannyの前向きで明るい生き方から人生の多くを学びました。今日、私たちの人生はダニーのおかげで美しくきらきら輝いています。ありがとうダ二ー!

あなたが誰であれ学びは一生終わらない。富士山のふもとで行われたOUTINGというイベントでの、わたしはフランス語を勉強している生徒であるという廣田先生のお話に私は感銘を受けました。廣田先生は教師であると同時に、私たちやカンボジアの子供たちに教育を届けるべく、学校の設立や実際に現地を訪問して子供たちと直接触れ合うなど、人のため、社会のために尽力されています。私は将来先生のような知識を追求することに貪欲で、世界に暮らす他者のことを思いやり、彼らのためになることをする努力を惜しまない人になります。

最後に、私についてです。私は中学生のときから、もっと自分の目で広い世界を見て、いろんな場所を訪れて、たくさんの人と出会いたいという野望があります。今年の2月に弾丸沖縄一人旅をしたとき、日本航空の国内と国際線両方で働く客室乗務員さんとお話しする好機がありました。この仕事のやりがいと意義深さをきらきらした表情で情熱的に語る彼女はとても印象的で、私も彼女のような、搭乗者の旅行を忘れられない美しいものにするお手伝いをする客室乗務員になりたいなと思いました。将来皆さんと空でお会いできることを楽しみにしております。

最後に、私たちは洞窟の中から外の世界へと出ることに成功しましたが、いつでも、私たちの好奇心が花開き、ともに新たな境地へ踏み出したNICという場所に思いをはせることができることを忘れないでください。ここで素晴らしい才能に溢れた皆と出会えたこと、共に一年間乗り越えてきたことを私は忘れません。私を支え励ましてくれた全ての方々、そして特に両親、感謝しています。そして、自分の可能性を信じて決して自分のこと見下すなと教えてくれてくださった館さん、ありがとうございます。本気と一言に言っても実は様々なレベルの本気があり、わたしたちは真の本気を低く見積もってしまいがちですが、実際、私たちは私たちが想像するよりももっとできる可能性を秘めています。なぜなら、私たちは人生を通して、夢を追いかけながら、また捜し求めながら、この素晴らしい世界をともに冒険する、好奇心旺盛な洞窟に住む仲間たちだからです。ありがとうございました。

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